- 「FXはピボットを使えば勝てるの?」
- 「ピボットだけで勝っているトレーダーはいる?
ピボットはとてもシンプルなツールであり、世界中のトレーダーが参考にしている指標であるため「ピボットを使えば勝てる」と考えているトレーダーも多いはずです。
ですが、結論から言うとピボットだけで勝てるほどFXは甘くはありません。
そこで今回はFXでピボットだけでは勝てない理由を解説しながら、ピボットを上手に活用する方法を紹介していきます。
目次
FXのピボットとは?
FXにおけるピボットは7本のラインで表示されるテクニカル指標のことで、主に反発ポイント・反転ポイントとして利用されています。
ピボットは前日の高値・安値から値動きの平均値を表示し、意識されるラインを明確にする機能があります。
ピボットを構成するラインの仕組み
FXのピボットラインは、下記の画像のようにピボットポイント(PP)を中心として以下のような7つのラインで構成されます。
- R3:レジスタンスライン3
- R2:レジスタンスライン2
- R1:レジスタンスライン1
- PP:ピボットポイント
- S1:サポートライン1
- S2:サポートライン2
- S3:サポートライン3
また、ピボットポイント(PP)は「PP=(前日の高値+安値+終値)÷3」という式で表され、現在の価格がPPより上なら買いが優勢、下なら売りが優勢と判断されることが多いです。
R3,R2などのラインは基本的に「タッチしたら逆張り」の目安として利用され、値が小さいほど、中心のピボットポイントに近いラインとなります。
似たようなインジケーターとしてボリンジャーバンドがありますが、大きな違いとしてはローソク足の平均を取るか、高値・安値・終値の平均を取るかです。
ピボットの使い方はボリンジャーバンドと同じように、中心から離れれば離れるほどピボットラインが反発する可能性が出てきます。
ピボットポイントには複数の種類がある
ピボットポイントは前日の高値安値・終値を参考にしたものだけでなく、月足や週足を参考にしたポイントもあります。
- デイリーピボット:前日の高値・安値・終値から計算
- ウィークリーピボット:先週の高値・安値・終値から計算
- マンスリーピボット:先月の高値・安値・終値から計算
基本的にはデイリーピボットが多く利用されますが、ウィークリーピボットも反発ポイントの目安となります。
どのピボットを参考にするかはトレーダー自身がどの時間足でトレードするかにもよりますが、ウィークリーピボットであっても5分足や15分で反発することがあります。
そのためウィークリーピボットをデイトレードに活用することも有効でしょう。
FXでピボットを使うメリット
FXでピボットを利用することには以下のようなメリットがあります。
- トレーダー間のズレがない
- 参考にしているトレーダーが多い
それぞれ解説していきます。
トレーダー間のズレがないため反発しやすい
FXのピボットは自分で設定する項目がないため、世界中のトレーダーが同じピボットラインを見ることになります。
例えば移動平均線やボリンジャーバンドはトレーダー自身が「5MA」や「25MA」のようにカスタムするので、トレーダーによっては数値・ラインが異なり、認識のズレが起こります。
一方、ピボットラインは前日のチャートから算出されるので、全トレーダーが同じラインを見ることになり、多くのトレーダーが意識するラインになりやすいです。
そのため反発の目安として多くのトレーダーが参考にしており、ピボットラインは重要なラインであると言えるでしょう。
参考にしているトレーダーが多く、目安になりやすい
ピボットラインは日本人トレーダーにはあまり浸透している印象はないですが、実際見ているトレーダーが多いインジケーターです。
見ているトレーダーが多いということはそれだけ意識されるラインであるということで、逆張りのエントリー根拠として見ているトレーダーも多くなります。
そのためピボットラインは逆張りの目安になりやすく、ラインにタッチすると何かしらの反発が見られるはずです。
このようにインジケーターは多くのトレーダーが見ていれば見ているほど意識されやすくなるので、マニアックすぎないインジケーターを使うこともFXで勝つことには重要です。
FXのピボットを使ったトレード方法
FXのピボットを活用したトレードは、基本的には「逆張り」ですが、順張りの手法としても利用できます。
ここではFXのピボットを使った基本的なトレード方法を解説していきます。
基本的には「逆張り」の目安になる
ピボットトレードはピボットポイントを中心に置き、離れれば離れるほどピボットラインに近づくように反発しやすくなります。
そのため逆張りの目安としては優秀なラインで、他の根拠が揃えばタッチしたら逆張りをする根拠も強くなるでしょう。
特に「S1ライン<S2ライン<S3ライン」や「R1ライン<R2ライン<R3ライン」のように、数値が大きくなるほど「中心から離れすぎている」と判断するトレーダーも多くなるため、反発する可能性も強くなります。
平均値との乖離率を逆張りの目安にするという点は、ボリンジャーバンドや移動平均線と似た性質を持っているので扱いやすいかもしれません。
ブレイクアウト手法にも使える
ピボットラインは基本的には逆張りの目安になるラインですが、ブレイクアウト手法にも利用することができます。
というのも、ピボットラインが逆張りの目安になるということは、それだけピボットラインを背に損切りを置くトレーダーも多くなります。
そのためピボットラインをブレイクすると、多くの損切りを刈って一気に値幅を稼げる可能性があり、場合によっては数分で決済されることもあるでしょう。
このようにピボットラインはブレイクアウト手法にも利用できますが、ブレイクアウト手法はリスクリワードが良くなく、ラインのブレイクを判断するのも困難なため、ピボットラインでブレイクアウト手法を利用するトレーダーは少ないです。
そのためFX初心者の方はボリンジャーバンドのように反発の目安として利用し、ある程度慣れてきたらブレイクアウトにチャレンジするる方が無難でしょう。
FXがピボットだけで勝てない理由
再度結論を言うと、ピボットライン「だけ」で勝つことは難しいでしょう。
FXがピボットラインだけで勝てないことには以下のような理由が考えられます。
- タッチしたからと言って必ず反発するわけではない
- ピボットラインはスイングトレードには向いていない
- トレンドの勢いが強いと勝ちづらい
それぞれの理由を見ていきましょう。
タッチしたからといって必ず反発するわけではない
FXのピボットラインは確かに反発の目安にはなりますが、タッチしたからといって必ずしも反発するとは限りません。
ライン上でのローソク足の勢いやプライスアクション、チャートパターンなど、反発するポイントには一定のシグナルが確認されるはずです。
その反発シグナルを確認しないまま「タッチしたから逆張り!」のようなトレードを繰り返していてはすぐに資金を失ってしまいます。
ピボットライン以外の要素を根拠に入れないままトレードしていては、当然FXで勝てるようにはなりませんよね。
どこで利確するかが難しい
ピボットラインを使って逆張り・ブレイクアウトのどちらの手法を使うにせよ、利確位置には悩むはずです。
というのもピボット単体で見る限りは、利確の目標はS1やR1のような水平線しかありません。
仮にR2ラインで逆張りエントリーしたとしても、R1ラインまで価格が伸びる優位性があるかどうかは相場の環境次第です。
利確目標がわからないと、そもそもまともなトレードはできないので、ピボットライン単体では勝っていくことは難しいでしょう。
トレンドの勢いが強いと勝ちづらい
先ほど説明した通り、ピボットラインは逆張りの目安ラインとして利用されることが多いです。
そのため強いトレンド相場では反発が期待できず、逆張りエントリーしたとしても一瞬で損切りに合うことも少なくないでしょう。
逆にレンジ相場のように上下に振れる相場ではピボットラインで反発する期待値も高く、エントリー根拠が強いと言えます。
ピボットラインで勝つためにはトレンドの勢いも把握する必要があり、ピボットラインにタッチしたからといって逆張りエントリーしていては、すぐに損切りされてしまいます。
FXでピボットラインを活用して勝つ方法
先ほど説明した通り、FXはピボットラインだけで勝っていくのは非常に難しいでしょう。
しかし、他のエントリー根拠を加えることで一気に勝率が改善されるはずです。
ここではFXのピボットラインを活用して勝つ方法を見ていきましょう。
環境認識をする
環境認識はFXで「デイトレード」「スキャルピング」「スイングトレード」のどのトレードをするにせよ、非常に重要です。
環境認識をすることで、以下のようにトレードシナリオを立てることができます。
- 「現在の波が上位足のどこに位置するのか」
- 「現状買いと売りのどちらが優勢なのか」
- 「チャートがどうなると、どちらにエントリーするのか」
例えば上位足では上昇トレンドの押し目買いのポイントなのに、下位足で下降トレンドが出ているからショート、のようなトレードでは思った方向に動かないのは明確です。
環境認識はトレードをする上で最も重要な要素ですが、意外とできていない人が多いです。
そのためピボットラインを活用する・しないに関わらず、トレードをするなら環境認識は必ず行うようにしましょう。
ダウ理論・移動平均線などの根拠を加える
先ほどの環境認識の話にもつながりますが、ダウ理論・移動平均線などでピボットラインに加えて根拠を加えることも有効です。
ダウ理論は簡単に説明すると、高値・安値のどちらも上に更新すれば上昇トレンド、その逆でどちらも下に更新すれば下降トレンドです。
ダウ理論に基づいた高値・安値の水平線は、FXで最もメジャーな指標です。ダウ理論がわかれば現状どの位置にいて目線は売・買いのどちらが優勢かを把握でき、結果的に環境認識にもつながります。
このダウ理論の高値・安値の水平線はFXで最もメジャーな指標であるため、ピボットラインの水平線が組み合わさるとより優位性が増します。
以下の画像をご覧ください。高値・安値を下に更新しているのでダウ理論的には下降トレンドです。
戻り売りを狙う局面でピボットラインがレジスタンスとして機能していることが確認できますよね。
このようにピボット単体だけでなく、ダウ理論や移動平均線のような広く意識される要素もエントリー根拠に加えることで、ピボットを上手に活用できるでしょう。
ピボットラインでエリオット波動の3派を捉える
少し上級者向けになりますが、ピボットラインとエリオット波動の3波を捉えることで勝率・値幅を上げることができるでしょう。
エリオット波動はダウ理論に基づいた波形の理論で、その中でもエリオット波動の3派は最も伸びる優位性があり、全世界のトレーダーが最も狙っている場所と言っても過言ではありません。
そしてピボットラインを上手に利用することで、エリオット波動の3派を狙うことも可能です。
例えば以下の画像では、R1のピボットラインをレジスタンスに、エリオット波動3派がスタートしています
このようにピボットラインを使ってエリオット波動の3波を捉える優位性を上げることができます。
ただし、上位足の環境認識次第ではエリオット波動の3波が全く伸びずに、すぐに逆行することも多いでしょう。
今回の例では上位足が下降トレンドだったため、伸びるべくして伸びた3派です。
ですが、ピボットラインとエリオット波動を組み合わせたとしても、環境認識ができていないとやはり勝つことは難しいです。
ピボットをどのパターンと組み合わせるにしても、環境認識は必須です。
損切り・利確位置を明確にする
損切りや利確位置を明確にすることの最大のメリットは、リスクリワードを把握することで資金管理がしやすくなる点にあります。
リスクリワードが把握できれば、自分の勝率とリスクリワードから破産しないように資金管理ができますよね。
ピボットラインを使った逆張りトレードの場合は損切り位置は、以下の画像のようにロングならピボットラインの少し下、といった分かりやすいラインに置くことができますよね。
あとはできるだけ伸びそうな場所に利確目標を置くことで、損切りと利確位置を明確にすることができます。
ただし、ピボットラインの逆張りトレードをする場合は、相当上手いトレーダーでない限り低勝率になることは避けられないはずです。
そのため、できるだけリスクリワードを良くしつつも、1回のトレードにおける損失許容額は、どんなに高くても10%程度に留めておきたいところです。
ピボットラインを使ってトレードをするなら、損切り・利確位置を明確にすることで資金管理を徹底し、破産しないように立ち回ることが必要になってきます。
まとめ
今回はFXはピボットだけでは勝てないのか、ピボットで勝つにはどうすれば良いのか、というテーマについて解説してきました。
簡単にまとめると、FXはピボットだけでは勝てないが、その他の要素と組み合わせることで優位性を上げることはできる、という内容でした。
今回紹介したピボットの活用方法はあくまでも一例で、どの手法と組み合わせるかはトレーダーの自由です。
しかし、最も重要なのは環境認識や資金管理といった基礎の部分で「ピボットを使えば勝てる!」のように手法頼みにしないことです。
今回紹介した活用方法を参考に、ぜひご自分で検証してみてはいかがでしょうか。